メディア担当者が知っておくべきコンテンツ記事の予算感

オウンドメディアを始めたいと考えている個人や企業は多いと思います。しかし、実際に始めてみるとやはりコストが心配になるものです。今回は、私のライター経験から、コンテンツ記事の予算感についてお話したいと思います。

アフィリエイトサイトは1ページあたり1000~2000円が多い

私の過去の経験からお話すると、アフィリエイトサイトの予算は1ページあたり1000円~2000円程度が多いと考えられます。文字単価は0.3~0.5円程度で、記事の大量生産を求める仕事が多かったです。

アフィリエイトの収益は少ないため予算は少なめ

個人のブログや、個人が企画・運営しているメディアでは主な収益源はアフィリエイトです。アフィリエイトの料率は、販売できた商品の金額に対して数%程度になるのが一般的ですので、よほど高価な商品を扱わない限りはさほど収益が上がりません。

そのため、あまり記事1つ1つにお金をかけることはできず、1ページあたり1000円から2000円程度の予算で発注される方が多いです。1ページの予算が1000円だとすると、文字単価1円なら1000文字、0.5円なら2000文字程度のコンテンツが作成できます。 十分に思えるかもしれませんが、このくらいの予算だと、情報量や情報の質は一般的なものにとどまりやすく、独自性を出すことは難しいです。

また、これはあくまで記事制作の料金だけであり、企画や画像作成・挿入、CMS入稿などの他作業が加わると文字単価は0.3円、0.2円と下がります。ライティングは時間を投資してコンテンツを作る仕事です。有力なライターほど低い文字単価では獲得が難しくなるため、全体の予算配分に注意しましょう。

料率や単価の高い商品では高品質のコンテンツも多い

ただし、これはあくまで一般的な話で、金融関係や一部の健康食品など、アフィリエイト料率が良い商品や、単価の高い商品を扱う場合は違います。料率20%、1万円の商品が1つ売れればそれだけで2000円の報酬になりますので、コンテンツにも力を注ぐことができるのです。高額な商品ほど、SEO対策やセールスライティングによる成果の違いが表れやすいため、コンテンツの予算も高めに設定することが多いです。

1ページあたりの予算を5000円程度で組む人も多く、この場合の文字単価は、企画込みの1文字1円で3000円程度で、残りで画像作成など他作業を行います。

年々、アフィリエイトは厳しさを増している

企業が事業用に制作するコンテンツは1ページ1.5~2万円?

企業がオウンドメディアを制作するケースも多くなっていますが、その多くは情報提供によって見込み客の発掘を行うことが目的です。企業の規模や、販売する製品・サービスによって違いは大きいですが、企業オウンドメディアのコンテンツは1ページあたり1.5~2万円ほどかけていることが少なくありません。

制作会社やクラウドソーシングでのライター報酬は4500円ほどでも

こうしたメディアでは、SEO対策を意識した企画が行われ、レベルの高いライターに発注が行われます。社内にスキルのある社員がいない場合は、外部の制作会社に依頼したり、クラウドソーシングサービスなどを利用して人材を確保するのが一般的です。

この場合、クラウドソーシングサービスでライターに仕事として回ってくる案件は、仕事概要に「有名大手●●企業のBtoBコンテンツの記事執筆」といった形で紹介されます。価格帯は文字単価1円~1.5円が多く、文字数は3000文字~5000文字が多い印象です。

文字単価1.5円で文字数が3000文字なら、1ページあたりの記事は4500円で制作できますが、クラウドソーシングサービスに支払う手数料が約20%、さらに消費税が10%必要です。そのため、依頼者はおよそ6000円を1ページの記事の作成にかけることになります。

大手企業でも、ライティングができる人材は不足している

デザイナーやディレクションの料金が上乗せされて数倍に

また、企業の提供する情報では、わかりやすい図表や印象的な写真が欠かせないため、これらを扱う専門デザイナーにも業務を依頼します。ライター報酬と同じ程度の報酬を支払うと考えると、1ページの制作費はライターとデザイナーの報酬を合計して1万2000円です。

そして、メディアや記事の企画・構成を外部の制作会社に依頼している場合は、そこにディレクション費用やコーディング費用が上乗せされます。作業量にもよりますが、総製作費の20~40%程度を制作会社取っていると考えると、1ページの制作費は15000~20000円程度となるのです。

オウンドメディアは安く作れる。しかし・・・

「記事を書いて、適当に画像を載せればいい」と考えてメディアを作るなら、1ページあたり2000円でも3000円でも作ることは可能ですが、コンテンツやメディアに企業らしさや、期待する品質を持たせることは難しくなるでしょう。

そのため、オウンドメディアの作成にあたっては、しっかり予算を確保してから始めることをおすすめします。オウンドメディアを作っても、ビジネス上の成果が出るまでは短くとも数カ月は必要です。予算が不足していると結果が出る前に予算が尽きてしまい、継続ができなくなってしまいますので注意しましょう。

企業の作る専門コンテンツは1ページ3万円以上になることも多い

ITや、マネー・医療などの「YMYL領域」は特に高い専門性が必要

企業によっては、高い専門性を必要とするコンテンツを作成することもあります。また、インタビュー内容を対談形式にまとめる、ホワイトペーパーを作成するなど、一般的な情報提供とは違った形での制作を行うケースもあります。こうしたケースでは、1ページあたりの制作費は3万円を超えることもあります。

過去の案件経験から

私は過去に、ネットワーク機器ベンダー企業のコラム記事の執筆で、文字単価4円をいただいていました。2000字でしたので、記事の制作料金だけで8000円となり、さらにそこに編集者が入っていたため、記事1本あたり1~1.2万円ほどの制作費が使われていたと予想されます。加えて、公開された記事には企業のさまざまな製品情報などが図や写真で紹介されていましたので、総製作費はその倍以上になっていたでしょう。

質が求められるBtoBの製品販売では、制作コストは高くなる

BtoBでの製品販売では、スペックや仕様などに関し、特筆すべきポイントを理解して伝えることが必要で、ライティングだけでなく分野の知識が必要不可欠です。そのため、ライターやデザイナー、編集者などの関係者にも各業界での知識が求められます。

また、社内でのドキュメント監査や、法務でのNDAの締結、会計上の処理なども考慮すると、社内でも担当者以外の人の多くの手がかかります。隠れたコストまで勘案すれば、1ページあたりの総コストは3万円を軽く上回るでしょう。

文字数の多いコンテンツではそれ以上も

ホワイトペーパーや特集記事など、専門性に加え、取材も必要で、文字数も多い読み応えのあるコンテンツの場合、その倍以上の制作費が必要になります。取引先だった企業で、IT系のホワイトペーパーの作成を行っているところがありましたが、「1万字ほどのホワイトペーパーで制作費が12~15万円ほどが相場」だと言っていました。Webだけでなく、DTPにも対応する場合は考えるべきことが多く、人手も制作時間もかかるようです。

コンテンツを安く制作したいなら、クリエイターと直接つながろう

ブログやSNS経由で、有力クリエイターに直接つながることが可能

さまざまな記事型のコンテンツ作成について予算感を紹介してきました。現在は、コンテンツ作成に関するさまざまなタスクが分業されており、そのために制作を依頼する側に必要な予算額が大きくなってしまっています。

こうした状況はライターやデザイナーなどのクリエイターにとっても手取り報酬が少なくなるため、望ましくありません。クリエイターの数や質の管理が楽になるのが中間に制作会社やクラウドソーシングが入るメリットですが、十分な実績を積み、実力と信頼を備えたクリエイターと直接契約する企業も多いです。

個人ブログやSNSを通し、クリエイターを確認し、直接つながれば、直接的に契約を交わすことも可能な時代になっています。直接契約は、中間コストがなく、打ち合わせなどもスムーズになるため、制作を考えている個人や企業にも、クリエイターにもメリットが大きいです。ぜひクリエイターを探し、直接の接触を考えてみてください。

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WRP代表ライター。 元経営コンサルタントで、企業のITやセキュリティの支援を担当。Webやブログの黎明期からWebマーケティングに関わり、Web全般を得意とする。SEO知識とIT知識を武器にするIT系ライター。 Webライティングだけでなく、専門性を活かし、中小企業向けのIT導入相談、セキュリティ相談、ソフトのローカライズ(日本語化)支援、研修や試験のテキストや解説書の作成なども手掛ける。